2020/8/22の日記
- 櫻木詩音

- 2020年8月22日
- 読了時間: 5分
今日の夏インテで、人生で初めて同人イベントに参加しました。楽しかったです。
数年前からずっと、友人(創作をしない人)に「これだけ創作しているんだから、同人サークルに参加してほしい」と言われ続けていました。
それに対して私はずっと「面倒くさいから嫌だ。一人で書いてるだけで十分だ」と言ってきました。
2020年は私にとって学生最後の夏です。
十年以上も私の創作活動を見てきた友人の願いを、「しゃーなし叶えてやりますか」みたいな気持ちで、昨年の秋に人生で初めてサークル参加に申し込みました。
人生で初めて、
サークルカットを作りました。
三桁のページ数の本を刷りました。
二桁の数の本を刷りました。
修了間際の学生で、バイトをする暇もなかったので、
全部売れ残っても問題ない印刷費で。
全部売れなくても在庫が邪魔にならないような部数で。
カバー付き小説文庫本268頁。
サークル布も買いました。
値札立ても買いました。
搬入用の鞄も買いました(いい感じのスーツケースを持っていなかった)。
お釣り用として、いつもよりもたくさんの百円玉、五百円玉、千円札を集めました。
コロナ禍でも夏インテが行われるということでしたが、
たくさんのサークルさんが欠席を決断された旨のツイートをするようになりました。
夏インテに参加していたのは、関西の人たちだけではなかったのだなと初めて実感しました。
関西の方々でも、様々な事情により新型コロナに対して慎重にならざるを得ない方々が、たくさんおられました。
私はというと、関西住み、一人暮らし、無職、内定在り、卒業要件も満たしている、持病もない、ただの元気な学生です。
イベントに参加することにしました。
感染症対策として、
消毒ジェルを買いました。
アルコール除菌シートを買いました。
透明な袋を買って、全ての本を個包装しました。
そうしているうちに、茶封筒が届きました。
中を開けて、初めてサークルチケットというものを見ました。
「チケット三枚もある!」と驚きました。
昨日は、件の友人が泊まりに来て、イベントの最終準備を手伝ってくれました。
小さな段ボールに、袋詰めした新刊を詰めて、二人で「おお~」と言いました。
二人で眠い眠いと言いながら、イベント申し込んでから今日まであっという間だったね、だとか、ずっと先の未来の話だと思っていたのについに明日だね、だとか、そんな話をしました。
イベント当日の朝は、既に暑くて、引きこもりの私には堪えました。
コスモスクエア駅に行くと、小さなスーツケースを持った人たちがたくさんいました。
とりあえずこの人たちについていけばいいんだな、と思って、ついていきました。
駅から会場までの間に、警備の人たちがたくさんいました。
人が集まるイベントには、人を管理するための人が必要になってくるんだなあと感じました。
会場の私のスペースは、6号館の、一番奥の端の、壁と非常口の前でした。
他の方々が言うような『空っぽの机が並んでいる虚無なイベント会場』というものを見ることすら無い、壁と向かい合っているだけのスペース。
人もおらず、机同士も離れていて、通路もガラガラだったので、
「火事が起こった時に逃げやすそうだな」みたいなことを考えたりしました。
空調が目の前であったこともあり、とても快適な温度の空間でした。
いつまでも座っていられるな、と思いました。
友人に軽食を買ってきてもらい、それを食べながら二人でイベント開始を待ちました。
しばらくして鐘がなりました。
「これが噂の……!」と思いました。
周りの人たちが拍手をしました。
「これが噂の……!(二回目)」と思いました。
そもそもが壁しか見えていないので、イベント会場全体の様子など分かるはずもなく、私たちはずっとだべっていました。
会場内で流れている曲についての話題が多かったような気がします。
しばらくして、スペースに訪れてくださった方がおられました。
めっちゃ挙動不審でぎこちない私の対応に対してにこやかに新刊を受け取っていただけました。
見ず知らずの人(言い方失礼だな)に自分の書いた本を手に取っていただけた感想としては、正直なところ「う、売れるんだ……怖っ……」って感じでした。
時間を持て余していたので、私は持ってきたスケッチブックにひたすら絵を描いていました。
小説サークルとは思えないことしてる、と友人は笑いました。本当にその通りだと思いました。
友人の推しの絵も描きました。
アナログでこんなにたくさん描いたのは久しぶりでした。もうしばらくは描きたくないなと思いました。
スペースに来てくださったTwitterのフォロワーさんに差し入れをいただいたりして、「そうか、考えてみたらそんな文化、あるな……!」と思いました。
という話をしたら「あるね~」と言われました。知ってんのかい。っていうか私よりそっちの方がなんかイベント会場慣れしてない?君本当に何者?みたいな気持ちになりました。
お昼過ぎに、私たちは撤収しました。
振り返ると確かにイベント会場はガラガラでした。
確かに、毎回イベントに参加されている方たちにとっては、すごく寂しい景色に見えるだろうなと思いました。
それでも私は、ほんおりとした満足感を抱きながら、友人と共に会場を出ました。
最後まで係員の方たちににこやかに見送られて、私の初めてのサークル参加は終わりました。
コロナ禍で同人業界がやばいだとか、印刷所がやばいだとか、TLで毎日のようにそういった話題を目にしています。
本を出すモチベーションが保てない、印刷費が回収できない、オタク同士の交流ができなくて辛い、などなど。
イベントに参加されない方も、イベントに参加した方も、両方が以前とは明らかに違うこの世界に、危機感を抱いたり絶望していたり。
そんなイベントですが、私にとっては素敵な思い出になりました。
きっと、このイベントは私の友人の夢を叶えるためのものだったからだろうなと思います。
私が内定している職は少し特殊なので、今後もう二度と同人イベントに参加することはできないかもしれない。
それでも、この先もずっと創作は続けていきたいし、イベント参加に関係なく、作ったものを印刷した本という形にしていきたいなと思いました。
多分それが、この同人業界に対して、私にできる唯一のことなので。
初めてのサークル参加、楽しかったです。
楽しかったので、どこかしらに記録に残したくて、書きました。
おわり。

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